管理職になると、これまで以上に人とコミュニケーションを取る機会が増えていきます。部下に対して仕事を指示したり、依頼をしたり、進捗を確認したり、上司に報告したり、他部署と連携したりと、さまざまな場面で人と関わる必要があります。
プレイヤーとして働いていた頃は、自分で手を動かして成果を出すことが多かったかもしれません。しかし管理職になると、自分が直接作業するよりも「人に動いてもらう」ことが仕事の中心になってきます。そのため、仕事の成果はコミュニケーションの質に大きく左右されるようになります。
そこで非常に重要になるのが、「相手に伝わるコミュニケーション」です。
相手に理解されない時はどうしたら良いのか
管理職でなくても、「言った」「聞いていない」といった会話を耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。いわゆる「言った言わない問題」です。私の周りでも、このようなやり取りは決して珍しいものではありません。
この問題が起きた時、多くの場合どちらか一方が悪いという話になりがちですが、実際にはどちらか一方だけの問題とは限りません。多くの場合、双方に課題があります。
まず一つ目は、信頼関係が十分に構築されていない場合です。信頼関係が弱いと、相手の話を真剣に聞かなかったり、重要性を正しく理解してもらえなかったりすることがあります。
そしてもう一つの大きな原因が、「伝えた」と「伝わった」を混同していることです。
「言った」「伝えた」というのは、あくまで自分側の行動です。しかし仕事において本当に重要なのは、相手が理解したかどうかです。つまり「伝わったかどうか」です。
この二つは似ているようで、実は大きく違います。
「伝えた」というのは一方通行のコミュニケーションです。一方で「伝わる」というのは、相手が理解して初めて成立する双方向のコミュニケーションです。
自分の中ではきちんと説明したつもりでも、相手が理解していなければ意味がありません。特に仕事では、相手が理解した上で行動してもらう必要があります。理解が不十分なまま動いてしまうと、結果として自分が期待していた成果とは異なるものになってしまうことが多くなります。
そのため管理職は、「自分が言ったかどうか」を重視するのではなく、「相手にどう伝わったか」を意識する必要があります。
例えば、
- 相手が理解できる言葉を選ぶ
- 一方的に説明するだけで終わらない
- 相手の反応を確認する
といったことが重要になります。
コミュニケーションは、自分中心ではなく、相手中心で考えることが大切です。
自分と相手の情報量の違いを理解する
もう一つ、コミュニケーションがうまくいかない原因として多いのが「情報量の差」です。
管理職になると、自然と持っている情報量が増えていきます。経営方針や会社の戦略、他部署の状況、上層部の意向など、一般のメンバーよりも多くの情報を得る機会が増えていきます。
しかし、その情報のすべてを部下が同じように知っているわけではありません。また、機密情報などの関係で共有できない内容もあるでしょう。
そのため、管理職同士で話すような前提で部下に指示を出してしまうと、相手からすると「なぜそれをやる必要があるのか」が理解できない場合があります。その結果、「話が通じない」「指示がわかりにくい」と感じられてしまうことがあります。
つまり、相手が持っている情報と、自分が持っている情報には差があるという前提でコミュニケーションを取る必要があります。
具体的には、
- 相手がどの情報を知っているのか
- どの情報を知らないのか
- どこまで説明すれば理解できるのか
といったことを考えながら話すことが重要です。
例えば、指示を出すときには
- なぜこの仕事が必要なのか
- 何をゴールとしているのか
- どこまでやれば良いのか
といった背景や目的も合わせて伝えることで、相手の理解度は大きく変わります。
また、説明した後に
「ここまででわからないところはありますか?」
「一度内容を整理してもらってもいいですか?」
といった形で、相手の理解を確認することも非常に有効です。
この一手間をかけるだけで、後から起こるトラブルや認識のズレを大きく減らすことができます。
まとめ
管理職として仕事を進めていくうえで大切なのは、自分が主体になるのではなく、相手を主体として考えることです。
忙しくなると、どうしても「伝えること」だけで満足してしまいがちです。しかし、それでは本当の意味でのコミュニケーションとは言えません。
本当に重要なのは、「伝えたかどうか」ではなく「伝わったかどうか」です。
相手が理解して初めて、仕事は正しく進みます。逆に、理解が不十分なまま進んでしまうと、やり直しやトラブルが発生し、結果として余計な時間がかかってしまうことになります。
だからこそ、指示や依頼をするときには少し時間を使ってでも、
- 相手にわかりやすく説明する
- 相手の理解度を確認する
- 認識のズレがないか確認する
といったコミュニケーションを意識することが大切です。
「言った言わない」で終わらせるのではなく、「どうすれば相手に伝わるのか」を考えること。それが、管理職として成果を出していくための重要なポイントになります。


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