管理職になったとき、まず何をすべきでしょうか。
目標の設定でしょうか。それとも業務の改善でしょうか。あるいは部下の評価制度を整えることでしょうか。
もちろん、それらも管理職にとって大切な仕事です。しかし、どのタイミングで管理職になったとしても、まず最初に必ずやっておいた方が良いことがあります。それは部下との信頼関係を構築することです。
管理職になると、立場が変わります。それまでプレイヤーとして仕事をしていた人も、チームや組織を動かす役割になります。言い方はさまざまですが、簡単に言えば「部下を持つ」ということです。
そして組織として成果を出すためには、自分一人の力だけでは限界があります。チームのメンバーが協力し、同じ方向を向いて仕事をしていく必要があります。つまり、あなたの指示や方針に従って、メンバーが動いてくれることが重要になります。
ここで大きな鍵になるのが信頼関係です。
人は、信頼している人からの依頼であれば「頑張ろう」と思えます。しかし、信頼していない相手から言われたことには、どうしても気持ちが乗らないものです。
そのため、管理職としてチームを動かすためには、まず信頼関係を築くことが非常に重要なのです。
なぜ信頼関係が必要なのか
信頼関係の重要性を、少し極端な例で考えてみましょう。
例えば、あなたが道に迷っているとします。そこに二人の人が現れました。一人はあなたの親しい友人で、もう一人は全く知らない見知らぬ人です。
友人は「絶対に左に行った方がいい」と言います。
一方で、見知らぬ人は「絶対に右に行った方がいい」と言います。
このとき、あなたはどちらの言葉を信じるでしょうか。
多くの人は、やはり友人の言葉を信じるのではないでしょうか。
これは会社や仕事でも同じです。信頼できる人の言葉と、信頼できない人の言葉が同じ内容だったとしても、人は信頼できる人の意見を重視します。
もちろん、会社では上司と部下という関係があります。上司の指示であれば、基本的には部下は従うでしょう。しかし、そこに信頼関係がなければ、その行動は長続きしません。
「言われたから仕方なくやる」
「最低限だけやっておこう」
このような状態では、チームとしてのパフォーマンスは上がりません。
一方で、信頼関係があると状況は大きく変わります。
「この人のためなら頑張ろう」
「この上司の期待に応えたい」
そう思ってもらえるようになると、チームの力は一気に高まります。結果として、組織としての成長スピードも早くなります。
実際、退職理由としてよく聞くのが「上司との関係」です。
仕事内容よりも、人間関係が原因で会社を辞める人は少なくありません。
つまり、管理職にとって信頼関係は、チームの成果だけでなく人材の定着にも大きく影響する重要な要素なのです。
どうやって信頼関係を作るのか
では、具体的にどのようにして信頼関係を築けばよいのでしょうか。
私がおすすめするのは、1対1のミーティング(1on1)を設定することです。
できれば対面で話すのが理想です。
大人数の会議では、本音を話すことはなかなかできません。しかし、1対1の場であれば、相手も話しやすくなります。
とはいえ、最初から本音を話してくれることは少ないでしょう。特にあなたが新しく管理職になったばかりであれば、部下は少なからず緊張しています。
そこで重要なのが、まず自分から心を開くことです。
例えば、自分の過去の失敗談を話してみるのも一つの方法です。
「実は昔、こういうミスをしてしまったことがあって…」
「最初の頃はこういうことで悩んでいたんだよね」
このように、自分の弱点や失敗をあえて共有するのです。
人は、弱みを見せてくれた相手に対して親近感を持ちやすくなります。
「この人は完璧な上司ではなく、同じ人間なんだ」と感じることで、相手も少しずつ心を開いてくれるようになります。
また、仕事の話ばかりにならないようにすることも大切です。
あえて仕事とは関係ない雑談をすることも、信頼関係を作るうえで効果的です。
例えば、
「休日は何をしているの?」
「最近ハマっていることはある?」
といった、ちょっとした会話でも構いません。
このときのポイントは、まず自分から話すことです。
「自分は最近こういうことにハマっていて」
「休日はこういうことをしているんだけど」
と先に自分の話をすると、相手も話しやすくなります。
いきなり質問ばかりされると、相手は尋問されているように感じてしまうこともあります。
信頼関係は、一方的に作れるものではありません。
お互いに少しずつ心を開くことで、徐々に築かれていくものです。
さらに、日常の中での小さなコミュニケーションも大切です。
ミーティングの場だけでなく、例えばオフィスで顔を合わせたときに
「今日忙しそうだね」
「昨日の件どうだった?」
といった一言をかけるだけでも、距離は少しずつ縮まります。
こうした何気ないコミュニケーションの積み重ねが、信頼関係を作る土台になります。
まとめ
管理職になると、つい「指示を出すこと」や「成果を出すこと」に意識が向きがちです。
もちろんそれらも大切ですが、信頼関係がないまま指示ばかり出したり、ダメ出しばかりしていると、部下は非常に仕事がやりづらくなります。
もし自分が同じ立場だったらどうでしょうか。
信頼していない上司から指示ばかりされる環境では、気持ちよく仕事をすることは難しいはずです。
だからこそ、管理職になったらまず最初に信頼関係を築くことを意識してほしいと思います。
信頼関係は一日で作れるものではありません。
時間も手間もかかります。
しかし、その時間をしっかりと投資することで、後々の仕事は驚くほどスムーズになります。部下とのコミュニケーションも取りやすくなり、チームとしての成果も出しやすくなるでしょう。
管理職としての第一歩は、組織を動かすことではありません。
人との信頼関係を築くことから始まります。
ぜひその点を意識して、日々のコミュニケーションを大切にしてみてください。


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